快適な空間で過ごしたい。
結露や不快な湿気を抑制したい。
空調だけに頼らずに湿度コントロールがしたい。
おしゃれな仕上げにした。
コロナ禍による外出自粛や在宅勤務などにより、自宅で過ごす時間が増える傾向が見られます。家族で過ごせる時間が確保できる一方、室内の快適性が求められるようになっております。
高密度・高断熱の住宅が普及していますが、空気がこもりやすく、壁の内側や天井裏での結露対策や、ハウスダストの対策が必要となります。室内で快適に過ごすには、エアコンだけでなく塗り材の効果も注目されています。
また、空調を稼働する時間が増えたことや、近年の電気代の高騰などに悩んでいる方も多いと思います。
調湿形仕上塗材は、電気ではなく、素材そのものが湿度コントロールをおこないます。そのため、空調の使用頻度を抑えることが期待できます。
私たち日本建築仕上材工業会内装部会では50年以上にわたって室内の快適性を検討をしてきました。室内の壁に関してはエキスパートの立場から、皆さまが快適に暮らすためのアドバイスができます。
適切な内装材を選択することによって、室内での生活を改善します!!
このページでは「エキスパートの立場」から室内の内装に適した材料である「調湿形仕上塗材」を紹介します。どなたでも快適な室内空間の演出に必要な材料の知識を身につけることができます。
内装に使用する材料には美観だけではなく、機能も付与されています。特に調湿性能は室内の湿度をコントロールするため、快適さに大きな影響を与えます。毎日過ごす空間なので、正しい知識をもって選択しましょう。
調湿形仕上塗材とは?
室内に湿気が多いと余分な湿気を吸収
湿度が高い時は、調湿形仕上塗材が湿気を吸収し、室内の湿度を下げます。
そのため、梅雨期や真夏でも室内を快適な湿度に保つことが期待できます。
また、内壁表面の湿度の急激な上昇を抑えられるため、冬場の結露対策にも効果的です。
結露が原因の1つとなるカビの発生も抑えられそうですね。
室内が乾燥していると適度な湿気を放出
湿度が低い時は、調湿形仕上塗材が湿気を放出し、室内の湿度を上げます。
そのため、暖房器具が使用される冬場においても室内の乾燥を防ぐことができます。
調湿形仕上塗材は電気を使用しないで湿度をコントロールすることから、エアコンなど電気製品だけに頼らないため、地球にやさしい材料と言えます。
吸放湿のメカニズム
多孔質な原料を使用
調湿形仕上塗材には珪藻土のような「多孔質」の原料が使用されています。
非常に微細な孔(あな)ではあるものの、その数が膨大であるため、表面積が非常に大きくなります。
この孔の表面に水分が吸収されるため、非常の多くの水を貯えることが可能です。
多孔質の原料としては、珪藻土の他に「ゼオライト」や「シラス」などがあります。
優れた意匠性を付与
調湿形仕上塗材は「建築用仕上塗材」と呼ばれる左官材料の一種です。
建築用仕上塗材は、左官と呼ばれる職人の手によって施工され、優れた意匠性を付与できることで知られています。
建築用仕上塗材の意匠性につきまして、以下のページでご確認いただくことできます。
関連:内外装仕上げの例(日本建築仕上材工業会)
調湿形仕上塗材の具体的な効果
調湿効果でもっと快適
調湿形仕上塗材は、湿度が高い時は湿気を吸収し、乾燥している時は湿気を放出し、すぐれた調湿性能で快適な湿度を保とうとします。
下のグラフは、日本産業規格の定める建築用仕上塗材の調湿性能(湿気を吸収する能力と排出する能力)の試験結果を示しています。
吸放湿量の数値が大きいほど、湿度コントロールに優れている材料と言えます。
この結果から、調湿形仕上塗材は結露を抑え、カビやダニの繁殖抑制にも期待できるため、洗濯物を安心して部屋干しすることが期待できます。
その効果はビニールクロスよりも遥かに大きいものとなります。
夏場も、とっても快適!湿度を抑えて体感温度を涼しく!!
下のグラフは、外気(屋外)の湿度を平成30年7月15日の東京と想定(アメダスより)した場合の、室内における湿度変化をシミュレーションした結果となります。
夏場は、吸放湿性のないビニールクロスでは室内の湿度は最大で95%以上になります。一方、調湿形仕上塗材が塗られた室内では最大でも80%近くまでしか湿度が上がりません。
気温が28℃であった場合、湿度が「95%⇒80%」に下がると、体感温度は「1.06℃」程度低くなると言われています。
また、一般的に不快な湿度と言われている80%を上回らない結果となっております。
この結果から、調湿形仕上塗材の室内では、湿度を抑えて体感温度を涼しくなることが期待できます。
調湿形仕上塗材は電力を使わなくても湿度コントロールできるのが特徴です。
冬の結露の発生を抑制。カビ発生の抑制が期待できます。
冬の暖房の効いた部屋は、就寝の為に暖房を切った直後から急激に冷やされ、壁に水滴が発生する「結露」ができやすいと言われています。カビは、この「結露」によって大量に増え、人の健康に害を与えます。
下のグラフは、冬場の夜に暖房を切った室内の湿度変化のシミュレーション結果を示しています。調湿形仕上塗材とビニールクロスを、それぞれ室内の壁の「3面」に施工することを想定しております。
吸放湿性能が低いビニールクロスでは相対湿度が100%を超えるため、結露が発生する恐れがあります。一方、調湿形仕上塗材では相対湿度が100%を超えないため、結露が発生する可能性は低くなると期待されます。
調湿形仕上塗材が塗られた部屋は「結露」が発生しにくいため、住む人に優しい塗材です。
二面施工でも十分。結露発生の抑制が期待できます。
健康で安全な塗り壁にしてみたいけど、タンスや食器棚が多くて四面全ての壁に塗るのは難しいというご家庭は多いと思います。
下のグラフは、調湿形仕上塗材を「いくつの壁面に施工するか」による、冬場の夜に暖房を切った室内の湿度変化のシミュレーション結果を示しています。
この結果では、1面だけの施工では室内の湿度が100%を超えてしまうものの、2面以上施工すれば湿度を100%未満に抑えられることを表しています。
調湿形仕上塗材は優れた吸放湿性能をもっているため、二面の壁に塗るだけで十分な効果を発揮することが期待できます。
意匠性にも富んでいるため、家具を置いていない壁のインテリアとして健康で安全な調湿形仕上塗材を塗ってみてはいかがでしょうか。
調湿シミュレーションについて
日本建築仕上材工業会では、さまざまな条件下における室内の湿度をシミュレーションする手法を提案しております。
この手法はJIS A 6909(建築用仕上塗材)に規定されている「吸放湿性試験における吸放湿量」を用いることで、多くの仕上塗材について適用することができます。
室内の湿度のシミュレーション方法の詳細については以下の論文をご参照ください。
・調湿形建築用仕上塗材の実空間レベルでの調湿効果 その1 加湿条件の設定およびJIS での吸放湿量と実空間での調湿効果の相関性の検討
・調湿形建築用仕上塗材の実空間レベルでの調湿効果 その2 実空間における調湿効果のシミュレーション
・調湿形建築用仕上塗材の実空間レベルでの調湿効果 その3 各種条件下での調湿効果
調湿塗材マークについて
「調湿塗材マーク」とは、一定水準以上の吸放湿性能を有する製品に対して、製造会社が自主的にマークを表示することにより、居住者のみなさまに居室内の湿度調整効果を持つ内装仕上塗材を安心してご使用いただくことを目的とした制度となります。
調湿塗材マークの詳細については、以下のページをご覧ください。
関連:調湿塗材マーク表示制度(日本建築仕上材工業会)